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「ボール遊び、どうする?」

地域に住む人がだれでも利用できる地域食堂(通称キッチン)でのこと。
このキッチンは、地域で管理・運営している公民館で開催されています。

地域に住む人が思い思いに過ごすキッチン

その日は、子どもたちが大きな柔らかいボールで遊んでいました。
最初は軽くキャッチボールしていたはずが、だんだん遊びはエスカレート。
いつの間にか、あっちとこっちに分かれてボールを蹴り合う遊びになっていました。

そして――ガシャン!

壁に掛けてあった賞状の額にボールが当たり、床に落ちて割れてしまいました。
幸い、けがをした人はいませんでした。

実は少し前にも、この公民館でボール遊びによる破損があり、同じようなことが続いたタイミングでもありました。
割れたガラスのまわりに集まり、少し気まずそうな表情をしている子どもたち。
住民会の方へ電話をかけ、事情を説明して謝るキッチンの運営メンバー。
その様子を、他の子どもたちも集まってきて神妙な顔で聞いていました。

電話を終えてから、運営メンバーが子どもたちに聞いてみました。
「ボール遊び、どうする?」

そして
「キッチンに来て、誰にもけがをしてほしくない」
「ここは、住民会のみんなで運営している公民館。これからも気持ちよく借りて、キッチンを続けていきたい」
ということが子どもたちに伝えられました。

すると、子どもたちからいろいろな意見が出てきました。

「ボールは使わないほうがいいと思う」
「でも、柔らかいボールなら当たっても痛くないよ」
「○○くんが遊んで割ったんだから、自分には関係ない」
「そもそも、額の近くでやらなかったらいいんじゃない?」
どれも、その子なりに考えた意見です。

今回、けがをした人はいませんでした。
でも、もし額が落ちたところに人がいたら?
小さい子が近くにいたら?

そんなこともみんなで想像しながら話して、最後は、
「ここでは、ボール遊びはやめておこう」ということになりました。

地域食堂など子どもと大人がごちゃまぜになる居場所では、
大人として子どもにどう関わるのがいいのか、迷うことがよく出てきます。
できるだけ、子どもたちが「やりたい」と思ったことをやれる場所にしたい。
一方で、小さな子も、お年寄りも、初めて来た人も、誰もが安心して過ごせる場所にしたい。
この二つは、いつもきれいに一致するわけではありません。むしろ、ときどきぶつかります。

「危ないからダメ」と大人が決めてしまえば、話は早いのかもしれません。
でも、どうしてダメなのか。
どうしたらみんなが安心して過ごせるのか。
自分はどうしたいのか。

できることなら、そんなことも子どもたちと一緒に考えていきたいと思っています。

もちろん、毎回こんなにうまく話し合えるとも限りません。
そもそもこの話し合いも、大人が誘導していなかったか・・・
大人の迷いも、まだまだ続きます。

ただこのことで、少し印象に残ったことがありました。

あれから子どもたちはボールを出して遊んでいないようです。
その場にいなかった子に「もうボールは使えないんよ」と伝える子もいます。
それぞれが違う考えを出したり、みんなで「どうしようか」と話したりしたことが、どこかに残っているのでしょうか。

これからも、誰かの「やりたい」と、「みんなが安心して過ごす」ことが、うまく重ならない場面は出てくると思います。

そのたびに、大人が先に答えを決めるのではなく、その場にいるこどもも大人も「どうする?」と一緒に考え、話し合ってみる。
地域の居場所をつくるということは、すぐに答えを出すことより、そうした丁寧な対話が欠かせないのかもしれません。

地域を支えてくれた先輩方、これからも見守ってください

文責:辻 祥恵(真庭市教育委員会 郷育魅力化コーディネーター(地域学校協働活動統括推進員))

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真庭市教育委員会生涯学習課
住所:岡山県真庭市久世2927-2
電話:0867-42-1094
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