真庭高校経営ビジネス科の3年生の活躍
竹害対策からビジネスプランを考案 ~各種コンテストで決勝進出~
真庭高校経営ビジネス科3年生の「近所の放置竹林を何とかしたい」福島春美さんと「草取りに疲弊する父を助けたい」二若智帆さんがタッグを組んで、「なくす竹害~竹と液肥でイノベーション」をテーマにした課題研究が各種コンテストの決勝に進んでいます。
彼女たちがこの課題に最初に取り組んだのは、2年生のマーケティングの授業でのことでした。真庭高校が専門高校になって1期生の彼女たちにとっても、高校にとってもイノベーションコンクールは初挑戦でした。結果、2次審査に進むことはできましたが、決勝には残れませんでした。「くやしい!あきらめたくありません」「竹害をなくして地域に貢献したい気持ちは変わりません」と2人の探究意欲は、コンテストの結果に関わらずなえることはありませんでした。
3年生になった2人は、これまでの取組を『課題研究』に引き継ぎ、発展させることにしました。地域での連携先を見つけるとともに、竹パウダーにさらなる付加価値をつけ、竹害対策からビジネスアイディアを考案するまでに取組をブラシュアップしたのです。その結果、各種コンテストでファイナリストに残り、今、決勝に向け準備を整えているところです。そんな、彼女たちの取組をご紹介します。
【コンテスト概要】
※各大会名をクリックすると詳細な情報のサイトが見る事ができます。
・10月27日(日) 第34 回全国産業教育フェア栃木大会 全国高校生ビジネスアイデアコンテスト
・10月29日(火) 岡山ガスビジネスプランコンテスト 2024
・11月23日(土) 岡山イノベーションコンテスト 2024
【これまでの取組】
1.社地域振興協議会の皆さんの協力を得て、竹林の伐採と竹パウダーの製造を行い、それにかかる労力や時間、コスト計算などのデータをとりまとめました。
2.竹パウダーの防草効果を調べるため、5月に竹パウダーを約1㎝の厚さで撒きました。比較対象として、草を取り除いただけの区画、竹チップを撒いた区画、木質パウダーを撒いた区画も準備しました。約5カ月が経過しましたが、効果は歴然。何も撒いていない区画や竹チップ、木質パウダーの区画は、草が茂っています。ところが、竹パウダーを散布した区画には未だに草が生えていません。竹パウダーは、地面に貼りついて、風や雨の影響をあまり受けず、予想以上の効果に手ごたえを感じています。
散布なし | 竹チップ散布 |
竹パウダー散布 | 木質パウダー散布 |
3.地域では大学と協働して竹パウダーの農業利用に取り組んだことがあり、竹パウダーをすき込んだ土壌の分析を行っています。その結果、土壌の微生物の量は増えるが、肥料成分が不足気味な農地では、収量増加の効果はあまりないと教えていただきました。そこで、竹パウダーにバイオ液肥を混合するアイディアを考えました。
4.食農生産科の協力を得て、バイオ液肥を混合した竹パウダーで、プチトマトの生育実験を行いました。その結果、液肥の混合比が高い竹パウダーを使用したプチトマトに味や収量について有意な差を認めることができました。また、育ちの悪いアマランサスに追肥としてバイオ液肥混合竹パウダーを散布したところ、急激な成長を見せました。程度の差こそわかりませんが、バイオ液肥の効果は、竹パウダーに混合しても維持されるようです。
5. バイオ液肥を混合した竹パウダーをつめたペットボトルを放置しているとペットボトルが破裂しそうなほど膨れていることに気が付きました。エコライフ商友の河野文雄さんに話を伺うと、発酵が起きているとのこと。河野さんの紹介で、9月に微生物研究の第一人者である京都大学の大土井克明先生に高校に来ていただきました。大土井先生は、興味を持って話を聞いてくださり、大学に帰って発酵に関する客観的なデータを送ることを約束してくださいました。
6.竹パウダーの消臭効果を検証したいと考え、市の環境課に相談しました。10月3日から2週間、久世地区の団地18軒に協力いただき、生ゴミに乾燥竹パウダーをふりかけてもらい、アンケートに答えていただくことになりました。初日に現場を確認しにいきましたが、竹パウダーをかけた容器は生ごみの臭いがしませんでした。2週間の継続観察の結果を楽しみに待っています。
7.大土井先生から、竹パウダーは発酵資材であることを示すデータがもたらされました。このことから、消臭のためにふりかけられた竹パウダーが、生ゴミと一緒に回収され液肥プラントに入ると、「メタンガスがこれまで以上に発生し、それを生ゴミ回収車の燃料として利用し、できたバイオ液肥は農業に活かされる」という循環への貢献が期待できます。
真庭市はごみの排出抑制と資源化を掲げ、循環型のまちづくりを目指しています。バイオ液肥を混合した竹パウダーは土壌改良効果・肥料効果・消臭効果・メタン発酵効果によって、市の取組にも貢献できるものになるのではないかと、生徒たちは目を輝かせています。
(文責:郷育魅力化コーディネーター 平田 勉)
詳しい情報は岡山県立真庭高等学校のホームページまたは公式Instagramからどうぞ
学校HP https://www.maniwa.okayama-c.ed.jp/
学校Instagram https://www.instagram.com/maniwa_hs/