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安心して過ごせる居場所

真庭市内にある、家庭・園・学校以外の子どもたちの居場所にはどんなところがある?

学童保育・放課後子ども教室・つどいの広場・放課後等デイサービス・日中一時支援・白梅塾・城北塾・ええがぁLABO・ユースセンターまぁぶる・塾などさまざまな居場所があります。

地域によって利用のしやすさは差を感じられることもあるかもしれませんが・・・。
さまざまな居場所の中で、今回は市内にある放課後等デイサービスにお邪魔してそこで過ごしている子どもたちに出会ってきました。

・・・とその前に、まずは少し知識から

放課後等デイサービスとは?

そもそも、どの分野に関わる?

令和4年度に改訂された「障がい福祉ガイドブック」によると、障がい福祉サービス等の一つで、「障害児通所支援」に含まれるサービスです。

「障害児通所支援」の内容は、「障がいのある児童が、年齢や障がい特性に応じた訓練を身近な地域で受ける支援のことで、利用対象になるのは、支援が必要とされた児童。」ということで、手帳の有無は関係ないようです。

児童・生徒の場合、教育委員会とは違う福祉課の扱う内容になるので、お子さんの発達に何かしらの不安や課題を感じられた時には、学校などへの相談と共に、福祉課・真庭市発達発育支援センターなどにも相談されてみてはいかがでしょうか?

また、独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の総合情報サイト、WAM NETによると、放課後等デイサービスとは

放課後や長期休暇中の障害児をサポートするサービス
学校通学中の障害児が、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを行います。利用対象者は、学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害のある児童とあります。

つまり、真庭市の障がい福祉ハンドブックに記載のある利用対象の、支援が必要とされた児童というのは、小学校入学から高校卒業までのお子さんということになります。

小学生の放課後時間のサービスとして、学童保育がありますが、このサービスとの違いは、利用対象、年齢、受け入れ人数などがあげられます。
また、同じ放課後等デイサービスの事業でも、子ども達との関わりで大切にしている事や提供サービスは事業所ごとに異なりますので、お子さんにあった事業所を見つけることが大切です。

利用にあたっては、市役所福祉課(真庭市の場合)に申請が必要です。(申請にあたっては療育手帳・障害者手帳は必須ではありませんが、診断書など必要な書類があります。)

真庭市内の放課後等デイサービスはどこにある?

<北房>
つぼみ北房
<久世>
ピタゴラス放課後真庭(久世)
マルコポーロ放課後真庭(久世)
<勝山>
ペリー放課後真庭(勝山)
※久世・勝山の事業所は(株)ピタゴラスが運営
<湯原>
旭川荘真庭地域センターさくら(主たる障がいを重症心身障がいとするもの)

と市内には4地区5事業所があります。(令和6年1月31日現在)
もしかすると、こちらをご覧いただいている皆さんの中には、「ピタゴラス」という名前を目にしたり耳にされたことがあるかもしれませんね。
ピタゴラス放課後 真庭・マルコポーロ放課後 真庭・ペリー放課後 真庭は(株)ピタゴラスが運営している事業所で、活動の一環で地域のイベントや地域の方との交流とMITなどに取り上げられている事も多いです。

今回は市内5事業所すべてを訪問させていただき、それぞれの教室の様子をみなさんにお伝します。

つぼみ北房

2020年4月1日に北房振興局近くの民家で開所されました。
こちらの事業所は、児童発達支援1も行われていて、未就学児から関わりながらその成長の支援をしてくださっています。
 
日常の様子は、子ども達は事業所にやってくると、それぞれに必要な支援に基づいてスタッフが組み立てたスケジュールを見える化したものを活用しながら過ごします。
民家を利用した事業所なので、活動ごとに使用する部屋を分けてあり、自分の活動に取り組みやすくなっています。(学習机のある学習室。スタッフとマンツーマンでそれぞれの発達特性に合った活動を行う個別活動スペース。自分のやってみたいことができる遊びの部屋。)
部屋の構造やパーティションを活用されて、それぞれの活動に集中できるようになっていました。

一日の利用人数の上限は、午前中に行われる児童発達支援の利用人数と合わせて10名
私が伺って印象的だったのは、日常とは違う出来事(私の訪問)があっても、自分自身のすべき課題(スケジュール)をすべて行えている様子でした。知らない私を受け入れてくれて、気になりつつもすることはするという力は日々の積み重ねなのだなと感じました。また個別活動の中では、スタッフとのやり取りの中で、取組の自己選択をしている様子も見られ、自分で考え行動する力が育まれているのかなと感じました。

スタッフのみなさんも、本人たちの想いを大切にする関わりをしながら、本人が困った時に人に頼る経験を大切にされていて、社会に出た時にはきっと大きな力になるのだろうなと感じさせていただきました。

(株)ピタゴラス

2016年10月に旧名越旅館南館の2Fでピタゴラス放課後 真庭からスタートされました。
その後、2020年11月にマルコポーロ放課後 真庭(久世)」、2021年3月にペリー放課後 真庭(勝山)と次々と事業所を開所されました。

一日の利用定員は、各教室10名で、利用範囲は湯原・勝山・久世・落合と広範囲です。
また、利用している子ども達の年齢も小学1年生から高校3年生と幅広い年齢になっているそうです。

こちらの事業所の特徴として、利用事業所を固定していないというところ。もちろんご家庭によって違いますが、本人との相性によって複数の事業所との契約をしている場合、それぞれの事業所を移動しながら、様々なスタッフやお友達、教室環境に触れることができるようです。

また、同じ運営母体ですが各事業所の特徴が違うとのこと。

<ピタゴラス>
デジタル機器に特化した場所としてスタート。PC、ゲームなどが好きな子にはたまらない場所です。PC、ゲームをすることを通して、人とコミュニケーションする力が育っているようです。(自分がやりたい時どうしたらいいか。同じゲームを他の子を誘ってするにはどうしたらいいか。などなど)。ここ数年では近くの畑をお借りして、地域の方の力をかりながら野菜を作り販売するということを始めています。野菜作り、販売を通して、接客やお金のやり取りなどリアルな体験を通して学んでいるようです。

<マルコポーロ>
バリアフリーを重視した場所。ここには、車いす利用の児童の利用があり、様々な障がいのある子ども達の交流の場になっていました。放課後等デイサービスを利用する子ども達は支援を必要としていますが、ここではお互いに支え合う、人を気遣うということが感じられるような場所でした。
 また、事業所前には大きな駐車場があり、元気な子供たちはそこでスタッフと駆けまわったり、自転車の練習をしたりと身体を自由に動かすこともできる場所でした。

<ペリー>
一軒家を使った場所。つぼみ北房と同じ一軒家ですが、ここはつぼみ北房とちがい壁のないワンフロアになっていました。また、目の前には畑が広がり、一角では野菜を育てながら、その畑の中では野球や鬼ごっこを楽しんでいるようです。周りには田んぼや畑があるので、そちらにボールが行かないようにと、最近ネットを張って、より自由に遊べるようになったそうです。畑が近いので、食育に力を入れていて、提供するおやつは、子ども達と一緒に作るなど通して、自炊の練習もしているようでした。

各教室に伺った日は、少し利用人数の少ない日のようでしたが、小学生~高校生までがいて、お互いに良い刺激を与えているように感じました。

ピタゴラスでは、それぞれゲームをしながらもなんとなく意識している様子の子どもや、自分の作りたいものを一生懸命作っている子、自分の時間を存分に楽しんでいる子などに出逢いました。

マルコポーロでは、帰って来て宿題に取り組んでそれぞれの遊びに向かったり、スタッフを外遊びに誘うなどしていました。宿題では、年上の子が宿題を見て教えたりヒントを出したりする姿も見られ、異年齢で過ごしている良さを感じることができました。車いす利用の子どもも居ましたが、特別なことではなく日常になっている感じを関わりの中から感じる事ができました。

ペリーでは、室内で風船を使ってバレーボールをしているところに遭遇。「室内で暴れないで」と言いたくなる場面ではありますが、そこにいる子ども達からやってみようと始まったことを大切にしながら、スタッフも一緒に遊んでいる姿が印象的でした。また、参加していない子ども達もそれぞれのやりたいことをしながら遊んでいました。

ピタゴラスグループ内では様々な学校、様々な年齢の子ども達が交流することで、地域に出た時、自分の地域外に知っている人がいるというのは少し心強いかもしれないなと思いました。

旭川荘真庭地域センター

湯原温泉病院の跡地に2013年5月に開所された多機能型の事業所です。ここでは、幼児から成人までの方が利用されていました。その中で、子ども達の利用する事業所が、「旭川荘真庭地域センターさくら」です。
なぜ湯原という地域に開所されたのか?というお話を伺うと、旭川荘と真庭地域の深いつながりがあってのことと知り、県北地域の障がい者福祉に対しての想いに感謝が湧いてきました。

さて、こちらの放課後等デイサービスは前述の事業所と大きく違うところがあります。それは…、対象児童が重症心身障害のある子ども達であるということです。
「重症心身障害」という言葉を耳にしても、どのような状態なのか想像がつかない方も多いかもしれません。施設の方にお話を伺うと、「重症心身障害」というのは、「重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態」とのことでした。

そして、こちらの事業所では、放課後等デイサービスだけではなく、それ以外にもサービスを受けることができるそうです。

重症心身障害者の方が受けられるサービスの種類
【通所支援】
 ・児童発達支援(未就学児対象)
 ・放課後等デイサービス(小1~高校卒)
 ・生活介護2(原則18歳から)
【訪問支援】
 ・保育所等訪問支援3(保育所や学校に通う18歳以下の児童が対象)
 ・居宅訪問型児童発達支援4(外出困難な18歳以下の児童)

これらのサービスはすべて、重症心身障害のある子ども達が対象ですが、地域で、家族と一緒に安心して生活していくことができるサービスの一つがこの真庭市にあるというのはとても嬉しいことですね。

今回訪問時には、放課後等デイサービスを利用している児童がいらっしゃらなかったので、お話しだけでしたが伺い、他の事業の見学をさせていただきました。
お話しの中では、ご家族のお子さんに対する想いを学校と連携しながら活動を考え、卒業後の生活に結び付くようにされているとのことでした。
当日は生活介護の方が利用されていました。ちょうど「お仕事」の時間で、フェルト玉を使ったキーホルダー製作の一工程を担っていらっしゃいました。
みなさんの様子を拝見しながら、自分に任せてもらえることがあるというのは、どのような状況の中でも大切なことなのだろうなとおもいました。
そして、そのための「お仕事」を見つけ、どのようにしたら日常生活の動きと合わせて行うことができるのか?を考え出されるスタッフの皆さんを心から尊敬しました。

さて、今回は「みんなの居場所」ということで、市内にある「放課後等デイサービス」の事業所を訪問させていただきました。
どの事業所でも、1人1人がイキイキしているなと感じました。子ども達が安心して、自分を出して過ごせる場所が一つでも増えると嬉しいなと思いました。

と同時に、何かしらの特性や障がいがあるお子さんの保護者の皆さんは、その状況を受け入れる事から始まり、どの保護者も考える将来の事を、小さなうちから先を見据えながら沢山の福祉サービスの中から何が利用できるのか?また利用にあたっては申請や手続きを繰り返していらっしゃることを知りました。

親(大人)も子も、障がいがある人もない人も、この地域に住んでいる誰もが安心して過ごせる環境が地域に拡がるといいなと思いました。 

秋田 智恵子(真庭市教育委員会 郷育魅力化コーディネーター)

<問い合わせ先>
真庭市健康福祉部福祉課 電話:0867-42-1581
真庭市発達発育支援センター 電話:0867-42-1080

  1. 児童発達支援とは、未就学児で日常生活における基本的な動作の指導、集団訓練への適応訓練を行います。利用にあたっては放課後等デイサービスと同様に福祉課への申請が必要です。 ↩︎
  2. 生活介護とは、常に介護を必要とする人に、施設で入浴など日常生活の支援、機能訓練や創作的活動の機会を提供します。 ↩︎
  3. 保育所等訪問支援とは、児童が通っている保育所等に、専門知識のある職員が訪問し、集団生活に適応するための専門的な支援を行います。また、保育所等の職員に対する支援方法等の助言を行います。 ↩︎
  4. 居宅訪問型児童発達支援とは:重度の障害などにより、外出が困難な障害がある児童の居宅を訪問して発達支援を行います。 ↩︎

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