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みんなの学校をつくる~コミュニティ・スクール事始め~

こんにちは。真庭市郷育魅力化コーディネーターの吉野奈保子です。 私は以前、東京に住んでいました。東京から真庭に通いながら、小・中学校のバイオマス学習や「バイオマスツアー真庭」の立ち上げなどを応援し、2016(平成18)年度からは「真庭なりわい塾」の運営を担当しています。同塾の卒塾生には、真庭市に移住した人が何人もいます。そして私自身も、3年前に、同塾のフィールドのひとつである中和地区(旧中和村)に移住しました。

一人のお母さんから動きはじめた

塾がはじまった当初、同塾の実行委員としてお世話になっていた土肥真由美さん(当時、中和小学校PTA会長)から、こんな相談がありました。

「私たちの学年が卒業すると、いよいよ小学校は複式学級になる。教職員の人数は半減し、保護者も減る。そうなると運動会の裏方も大変で、親は子どもの写真を撮る余裕すらなくなるかもしれない。子どもが卒業した後も、学校に関わることはできないだろうか。学校を応援するグループを作りたい」

それは大切なことだと思い、数名の保護者と話し合う機会をもちました。それが「中和いきいきサポーターズ倶楽部」(現在、中和地区で地域学校協働活動を中心になって担うグループ)のはじまりです。

一方で、先生方も、複式学級になることを見据えて、どうすれば、より良い学校づくりができるだろうかと模索していました。校長先生から「総合的な学習の時間」をより充実させたいので、参考になる学校を教えてほしいと相談があり、当時、西粟倉小学校に勤めていらっしゃった鳥越厳之先生(現・真庭市政策アドバイザー)を紹介しました。鳥越先生は二つ返事で、「僕も一緒に考えましょう」とおっしゃってくださったのです。

「地域と学校が手を携えて、より良い学校をつくろうと動きだす。この取り組みはまさに『コミュニティ・スクール』ですね」と、土肥さんにお話しすると、「コミュニティ・スクールって何ですか」と逆に質問されました。それもそのはずです。コミュニティ・スクール(注1)は、2005(平成17)年度に文部科学省が創設しましたが、なかなか普及せず、その設置を教育委員会の努力義務としたのは2017(平成29)年度になってからでした。真庭市が具体的に検討しはじめたのも、この頃からだと思います。そして2019年(令和元)年度に中和小学校と北房小学校は、真庭市の初の「コミュニティ・スクール」になりました。

中和小学校(以下、中和小)の場合は、すでに「中和いきいきサポーターズ倶楽部」(以下、倶楽部)を中心に地域学校協働活動(注2)が動いていましたので、「コミュニティ・スクール」の導入もスムーズに進みました。制度の裏付けにより、地域と学校の連携・協働は、ますます進んだのです。

地域と学校が協働し、特色ある学校づくりへ

倶楽部のメンバーは、運動会やプール開放などの行事を手伝うだけではなく、習字や裁縫、郷土料理(こけら寿司)づくりなどの授業補助を行っています。そして、学校の長期休暇も子どもたちが集まって元気に過ごすために「サマースクール」などを企画しています。

▲サマースクールで沢登りに挑戦

▲「生きものはいるかな?」

また、倶楽部の有志で結成する「中和いきいき学習プロジェクトチーム」は、通常は教職員だけで行う「校内研修」にも参加させていただき、主体的・対話的・協働的な学びについて積極的に意見交換し、授業に協力してきました。その結果、中和小では次第に特色ある授業が行われるようになったのです。

その一つは、児童一人一人が、すべての授業のはじめに「マイめあて」(自分なりの課題や学ぶ姿勢・目標)を設定し、最後には「ふりかえり」を行うこと。「マイめあて」と「ふりかえり」は、主体的な学びをすすめるために欠かせません。

また、「4つの対話アイテム」をすべての授業に活かしてることも、中和小ならではの工夫です。先生方も児童も、このアイテムを駆使しながら、対話的な学びをすすめています。

▲「おたずね」・「おたすけ」・「いいとこ見っけ」そして「自分の考え」。

そして、地域と連携・協働する「中和いきいき学習」(生活科・総合的な学習の時間)をより充実させること。「ありがとうのつながり」を大切にしながら、子どもたちも地域も、ともにいきいきと元気になることを願ってすすめています。

そうした積み重ねの結果、本年度、中和小は、文部科学省の教育過程特例校の指定を受けて、「中和いきいき学習科」を新たに設置することになりました。その詳細は、ここでは長くなりますので、また、改めて紹介させてください。

▲中和いきいき学習発表・交流会。多世代で交流し、地域の未来を語り合う

▲「ありがとうのつながり」が未来をつくる

みんな一緒に! さらに広がるコミュニティ・スクール

中和小に学校運営協議会を設置して5年目。今年度、新たに「中和コミュニティ・スクール学校運営協議会要綱」を定めました。同要綱には、中和保育園も「コミュニティ・スクール」の一員に位置づけています。保育園では、新たに「自然保育」を実施。こうした取り組みが行われるようになったのも、園と保護者・地域が、お互いの立場や想いを理解し、協力しあう関係を築くことができたからでしょう。

さて、真庭市では、本年度までに市内すべての小・中学校が「コミュニティ・スクール」になりました。どの学校も学校運営協議会を設置し、地域学校協働活動が動きはじめています。すでに活発に動いているところもあれば、まだまだ、これからという地域や学校もあるでしょう。

このカテゴリーでは、各地域・学校の特色ある活動を順次紹介していきます。皆さんの地域・学校の活動を、ぜひ、教えてください。お互いの事例をヒントにしながら、子どもたち、学校、そして地域が、一緒に元気になる活動を広げていきましょう。

このカテゴリーでは、各地域・学校の特色ある活動を順次紹介していきます。皆さんの地域・学校の活動を、ぜひ、教えてください。お互いの事例をヒントにしながら、子どもたち、学校、そして地域が、一緒に元気になる活動を広げていきましょう。

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真庭市立中和小学校
住所:真庭市蒜山下和1965
ホームページ:https://www.city.maniwa.lg.jp/soshiki/87/
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吉野奈保子(真庭市教育委員会 郷育魅力化コーディネーター)

(注1)コミュニティ・スクールは、学校運営協議会制度を導入している学校のこと。保護者や地域住民等が、一定の権限をもって学校運営に参画し、ともに子どもたちを育て、「地域とともにある学校づくり」を目指す仕組みです。
(注1)保護者や地域住民等の参画により、地域全体で子どもたちの学びや成長を支える活動です。地域と学校が相互にパートナーとして連携、協働しながら、「学校を核とした地域づくり」を目標にさまざまな活動を行います。

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