
子育て世代の「子ども時代の原体験」の再現 & 遊びの伝承
今年の夏は暑かった。「災害級の暑さ」という初めて耳にする酷暑の中、今年度も地域の中で新たな活動が蠢きました。去る8/5(火)に「子どもの未来を考える会@勝山」の皆さんが主体的に取り組んだ「城山であそぼ」!をご紹介させて頂きます。 今回の取り組みは、勝山で子育て中の藤本 耕司さん&陽子さんご夫婦の想いから「城山であそぼ!」は始まりました。「自分達が住む街で「気軽に遊べる場所」を見つけて遊ぶ機会を作りたい。子どもも歩いていけるのが城山。自分自身も田舎で育ち、山の中で遊び込んできたからこそ、今を生きる子ども達と共にやりたい!」つまり、保護者世代が遊び込んだ記憶を元に、子ども時代の原体験をまた違った形で再現し、遊びの伝承をする機会ともいえます。

みなさん、どうぞご一緒に!〜共に時間を作りあう〜

朝9時半。0歳7ヶ月の赤ちゃんから大人まで総勢38名が中央図書館前に集まりました。この日は、乳幼児から大人まで幅広い年齢がごちゃ混ぜになり、名城・高田城跡地が残る城山に登ります。今回の企画者である藤本陽子さんが、今日集まってくださった方々への繋がりに感謝の言葉が伝えられました。今回の「城山であそぼ!」は、秋に本格的に実践する為、お試しの機会。陽子さんが、子どもを育てる中で出会い繋がった「ゆるやかなご縁」を元にお声がけされた方々が参加されています。こんなに多くの方々が集まったのも、陽子さんと耕司さんご夫婦が、普段から丁寧に対話を重ね、関係性を作ってこられておられるからやろなぁ、としみじみ感じます。
申し込み段階からびっくりしたのは、0歳7ヶ月&2歳&5歳を子育て中のお母さんからのお申し込み。もちろん、子どもを抱えての山登りは初めての状況であることは想像できたので、「みんなで見守りサポートし合う」関係性が必要と感じました。
遊び場づくりの伴走支援を担っている私(かき)としては、心がけ工夫したポイントが3つあります。
- 子どもも大人もご一緒に〜♩ ✧共に感じる / わかちあう
- 面倒&困りごとは手分けする ✧一緒に困る / 一緒に嘆く
- おたがいさま〜の心でね ✧気軽に「助けて〜」 「助けられるよ〜ん」が伝え合えるように
企画運営者側 / 参加者のラインを引くのではなく、この場にいる人が立場や役割を超えて、みんなで共に時間をつくり合うことを願って、今日のポイントを短くわかりやすく伝える時間を作りました。

いざ、城山を山登り!
この夏7月末〜8月前半は気象予報士さんから連日「40℃級の酷暑に警戒」と呼びかけがある中、「山登り…、できるのか?」と疑いましたとも、えぇ。この日の予報は、最高気温33度。いざ、山登り!をするにあたり、暑さ対策として、水分はこまめに摂ること。バテそうな子がいた時は、「大人霧吹き隊」が首筋にシュシュと水をかけることで体温を下げる工夫もしました。そして、山登りは山頂を目指すことだけではなく、途中の寄り道や道草も遊びとして楽しんでいこ〜。0歳児がいるからこそ、「場合によっては、引き返すのも勇気だ!」という前提を作りました。
参加者一人一人が「困ったときには、「助けてーーー」と「助けられるよ〜」が伝え合えるようにできたら嬉しいです」と呼びかけると、ホッとした表情のお母さん。その表情を見て、「今、この場で伝えておきたいことがある人は共有してね」と加えて呼びかけると、おちびと共に参加しているお母さんが「今日は、0歳7ヶ月の子どもと、2歳、5歳と一緒に山登りをするのを楽しみにきました。でも困ったことがあったら、是非とも助けてほしいです」という言葉に、その声を聞いた周囲の人たちも「オッケー、まかせて〜」と頼もしい表情とやり取りがあり、出発段階からとても和やかな雰囲気となりました。

いざ山に入ると、若干涼しい。木陰の中ならでは…の心地よさ感じます。中央図書館から舗装道路を抜けると、すっかり山深い場所に来たかのよう…。虫好きの子どもたちは、虫取りに興じながらずんすんすすんで行きます。
時間をかけてゆっくり登った2歳児の男の子は、自分の足で歩いたり、ぐずった時はお母さんに抱っこされたり…を繰り返しつつ1時間かけて登りました。私はぐずる子どもたちと共に過ごせるよう最後方を担当していましたが、途中から2歳児を育てるお母さんの山登りの思い出話となりました。
そのお母さんは、富士山の山登りや海外での山登りの過酷さを思い出しながら、その話をおもしろおかしく語ってくれました。今、目の前ではまさに!14kgの子どもを抱っこしながら1歩1歩歩いているわけですが、常に自分だけではない荷重がかかる。大変…。2歳児を連れての山登りは、富士山やヒマラヤ山系の登山に匹敵するぐらいの状況なのかな。そういう記憶を引き出すんだな…。それぐらい子どもを背負っての坂はきつく、それでも楽しい。そんな時間を過ごして山頂に到着!2歳児とお母さんと共に歩いたことで、たかが150Mの高さの山でも感動もひとしおでした。
全員無事に山頂へ!山頂で遊ぶ
山頂の様子は言葉で語るより、写真の方が魅力的。写真と共にご紹介します。最低限のモノを持ち込み、子どもも大人も自由に過ごす時間になりました。
▼山頂!ひろーい「ひろっぱ」が広がる。
【子どもの声】生まれて初めての山登り〜♩ こんな場所があるんだね!(小学生男の子)

▼ダンボール1枚で桟敷ができる / 人が集う / 拾い物で遊ぶ / 毛糸でぐるぐる
【子どもの声】毛糸ぐるぐる、たのしーーーーー



▼憧れのハイジブランコーーーー(アルプスの少女ハイジ気分になれる)

▼ブランコは大人も楽しい🎵

▼綱一本でめちゃくちゃ遊べる!綱引きわっしょい! / 子どもも大人も混ざり合う
【子どもの声】手の皮が剥けちゃうぐらい頑張ったよ〜

「振り返り」で自分の想いを確認する

山頂でひと遊びをしてからは、みんなでお弁当も食べました。
その後、参加者同士の繋がりや交流できる時間を願い「今日の時間をどう感じたか…、お話しする時間を作ってみようかと思うんやけど、どう思う?」と周囲にいる方々に伺うと、賛同を得られ、みんなで輪になって「ふりかえり」の時間を持ちました。
「今日、こんな気づきがあったよ、こんなことを感じたよ〜、があったら教えてね。みんなで自分が感じたことを分かち合うよ〜。」と呼びかけると、最初に口火を切ったのは、まさかの4歳の女の子。 「初めての山登り!山登りが楽しかった〜。自分の力で登れたよ!」喋りたくてたまらない!というほくほくした表情で伝えてくれました。続いて、藤本家のかももちゃん(その日だけの呼び名…)は、「お父さんが手作りしてくれたブランコがいっちばん楽しかったぁ。そのブランコでね、他の子も遊んでいるのも嬉しかったよーーーーー」とのこと。…なんと優しいお気持ちなんだ。そんな微笑ましい言葉が共有されてから、参加してくださった大人の皆さんもたくさんの声を伝えてくれました。一部を紹介します。

もちろん、充実した活動になった一方、今回の企画の中心を担っていた陽子さんからは、課題も示してもらいました。「とっても充実した時間になりました。一方で、事前準備や受付等で運営側の労力がかかるので、この辺りは共に考え一緒に分担する人手が欲しいと思いました。10月の本番では共に準備をできる人は手をあげてもらえたら嬉しいです。」とのこと。
うんうん。そうですよね〜…。こういった取り組みは、目に見えない部分でたくさんの労力や準備があってのこと。つまり、目に見えない事柄で支えられているのも事実です。お神輿で例えるならば、神輿に乗りたい人だけでは成り立たない。神輿を作り、それを担ぎ、合いの手だって必要。そういうこと全部をわちゃわちゃと面白がってやれる…ことが何より大切やなぁ、と、伴走者としても深く感じる部分がありました。
最後に。この企画の推進者であり事前準備から時間をかけて奮闘していたよ〜こさんが、後日メッセージをくださいました。「城山の山頂で38人が輪になって話をしながら『私の人的財産はこの方々だな』としみじみ感じたよ。時間を使い、お金は生み出せ無い活動だけど、お金では買えない価値を感じられた日でした。」とのこと。このメッセージにじんわり感動しながら、私自身も地域の皆さんの挑戦の傍に居ることができたことが、とても幸せな有り難い時間となりました。
文責 : かき こと 大垣内 弘美。